将来の社会構造を予測する

変化は急速に進むか

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 電子決済、フィンテック、テレワークやオンライン授業など、これまでも必要とされてきたのに、社会に普及が進まない分野です。地産地消や地方再生だってそうです。
 特に新しいことを必要とするのではなく、もともと社会が必要としていたことを進めるべきなのです。

今までも技術的に可能であるのに、それが進まなかった理由は、二つあります。

一つは、日本の伝統的な年功序列の終身雇用といった雇用形態にあるでしょう。
人材の流動性が極端に低く、意思決定層が高齢かつ、代々、先輩が気に入った後輩に権力を譲り渡してきた組織というのは、過去のやり方を変えることはできません。現状維持だけを願うようになります。
やり直しの利かない社会で、リスクを恐れて企業内に留まっていれば、ステータスだけが生きがいになってしまうでしょう。
そのため、有名企業、役職、都心・一等地の綺麗なオフィスといったステータスへのこだわりの大きな社会になります。
社会的距離を確保して経済を回そうと思ったら、企業の形は、フラットな組織、職務制、成果給、テレワーク、決済過程の最小化、などが必要になります。
しかし、現在の新卒のなりたい職業ナンバーワンは公務員であることから、老いも若きも安定への執着は国民文化といってもよく、新しい働き方を導入しようと思えば、年功序列の終身雇用の前提を破壊するものであり、大きな抵抗が起こります。

もう、一つは産業構造にあります。
日本の、国の一般・特別会計を合わせて150兆円(国債償還除く)あり、さらに地方財政、地域独占で規制に守られた金融機関、インフラ関連企業等、広義の公的分野を含めれば、日本のGDPの半分以上は公的分野になります。
つまり、日本の公務員、公的分野、それに準ずる産業を含めると、日本の半分くらいは、大した競争がなく、リスクのない仕事をしています。当然ですが年功序列の終身雇用の組織です。
そうした世界の人達は、今までのやり方を変えなくても暮らしていけるのに、わざわざ痛みの伴う変革をする理由がありません。
一応、表面的には導入してみせて、実態は何も変わらずといったことを繰り返しています。

今後の社会構造ですが、日本社会において組織自らが、急速に変革していくことは、あまり期待できません。
パンデミックによる世界的な災害も、10年も経てば、みんな忘れてしまうかもしれません。
ただ、大きな時代の流れは止められません。
唯一、時代を動かすのは技術革新と競争、普及です。特に国際競争に晒されている産業は、変革しないと生き残っていけません。全体的には嫌々、渋々ながらも、世界とは周回遅れペースでゆっくり進んでいくと思います。
早い時期から積極的に取り入れた企業が、将来の勝ち組企業となっていくでしょう。

広義の公的部門、リスクの負わない産業も、技術革新により競争に晒されるようになりますが、相変わらず、表向きは改革、実態としては何もやらない形で停滞していくでしょう。
例えば地銀などは、保証協会の保証つきの融資、生命保険を担保に住宅ローン融資、手数料など、行政に守られてリスクの負わない商売をしてきました。金融分野のIT技術革新、フィンテックの普及により、存在意義を問われており、人材紹介、М&A仲介、中小企業へのコンサルティングや出資(経営参画)の解禁などの生き残り策があるようですが、これらは官主導の補助金、助成金まみれのビジネスになるはずです。
地域の非効率な中小企業と地銀、行政一体の沈みかけの護送船団みたいになっていく可能性が高いと思います。

ビジネスチャンスはどこにあるか

 日本の場合、世界とは周回遅れでゆっくりとした変化が起こるわけですが、あまり悲観する必要はありせん。
 急激な変化より、ゆっくりとした変化の方がビジネスチャンスのある期間も長いと考えられます。
 世界から周回遅れの後発組であるので、世界で普及し実績のある技術を、国内の中小企業などへの導入を図ることでビジネスを展開していくことができるでしょう。
 「社会的距離を保ちながら経済活動を行う」という大きなニーズに該当したものであれば、ビジネスになり得ます。
 現実には、技術の導入ということでは完結せず、企業活動全般へのコンサルティングが必要になります。
 そうしたコンサルティング市場が拡大するでしょう。

次に、どうにもならない日本の社会構造に対して「年功序列も終身雇用もまっぴら」、「もう政府も行政も信用しないし、頼らない、自分達で何とかする」という層が拡大してくるでしょう。
正社員にも、都心の綺麗なオフィスにも見栄的な支出に興味がない層ですので、必然的に、環境のよい地方部に住むことが多くなります。
個人レベルでセーフティーネット的な、水、食料、エネルギーの自給率を上げようと思えば、地方部の方が有利です。
「ZEB(ゼロエネルギービル)」という建築物単位でエネルギー自給を目指す取り組みがありますが、そうした省エネ、自然発電等の技術も、現在、かなりのレベルに向上しています。
これまでは、地方移住や田舎暮らしというと、世捨て人的な感覚でしたが、これからはプロ人材がフリーランスや在宅作業等で活発な交流と経済活動を行い、個人レベルでセーフティーネット(水、食料、エネルギー等の確保)を達成しつつ、自由に暮らすといった層が増えてくると思います。
そうしたコニュニティーが増大し、しっかり稼いで納税し、家族を作り、それぞれの自己実現を達成した成功者が多く生まれてくれば、社会的認知度や信用も獲得し、社会を変える機動力になるかもしれません。

こうした層に対する様々なソフト・ハードの支援というのも社会的意義も大きくビジネスになると思います。

おわりに

 以上考察を述べて来ましたが、社会的不安の大きな状況にありますが、長期的には、人間が常に自分を磨き、より自立的で、自由気ままに暮らせる社会になると考えています。
明るい未来が待っているはずです。 ※そうなって欲しいです。
 やるべきことは、これまでも社会に必要とされてきたのに普及が進まないことを、推進させるべきなのです。
 それが大きな社会貢献になり、ビジネスにもなるのです。
 もう一つ、社会とは、各個人が価値を提供し合って成り立っています。社会に価値を提供し、組織に依存せず暮らせるように、各自が自分の価値を提供できる能力も磨くことが重要です。
 今こそ「一身独立して一国独立する」という精神が重要です。

 ご参考になれば幸いです。