30代、40代で独立した診断士の名刺を見ると、少なくとも半分以上が、IT・マーケティングを得意分野としていると思います。
独立当初の頃、ある研究会後の飲み会でベテランの診断士から、専門がマーケティングという人は食えないという話を聞きました。「マーケティングが専門という人は、何もできないと同じだ」とボロクソでした。
その時、IT・マーケティングを専門として独立したばかりの人も同席しており、その話を聞いて、顔をゆがめていたのが記憶に残っています。
※その人とは、今はやりとりありませんが、結構活躍しているようです。よかった。
中小企業診断士で、マーケティングが専門の人が、そのような評価をされてしまう理由としては、独立当初に、得意分野がないため、とりあえず、前職が営業をしていたから「マーケティングが専門です」とか、IT企業に勤めていたので「ITマーケティングが専門です」と名乗っている人が多いためだと思います。
確かに、「ITマーケティングが専門です」と言いながら、ホームページもSNSもない人をよく見ます。ホームページがあっても、「とりあえず作りました感」満載の、顧客にとっての価値がよく分からないものも多いと感じます。
それでも、公的支援機関や診断士のネットワークを頼って、食っていけるのが診断士の良い所なのかもしれません。
そんな感じで、マーケティングが専門の人は玉石混交となりやすく、不当に評価が低いと感じている人もいると思いますが、個人的には、マーケティングというのは、コンサルタントにおいて最も重要な能力であると思います。
ビジネスとは「顧客に価値を提供して報酬をいただく」それだけで、その点を追求していくことこそが一番重要であると常々、感じています。
具体的には、潜在的な顧客のニーズを見つけ出し、ニーズを満たす価値を創造し、顧客に認知させて、価値を提供する方法を追求することだと思います。
上記は、マーケティングそのもので、「マーケティングこそビジネスの一番根幹部分」だと感じています。
独立した診断士自身が、個という弱い立場で、顧客から直接受注を目指す場合、どのような専門分野であれマーケティングを駆使しなければ直接受注は難しいでしょう。
ましてや、高付加価値のコンサルタントになるためには、マーケティングの重要性は増してきます。
なぜなら、経営活動の最終目的として最も重要なのは利益の確保です。高い報酬をいただこうと思ったら、顧客の利益を増大し、相応した報酬をいただく形にならざるを得ません。
そのため、どのような専門分野でコンサルするのであれ、顧客の利益を増大させるマーケティング的な能力が重要になってきます。
では、高付加価値のマーケティングコンサルタントのビジネスチャンスですが、結構、あちこちに転がっていると思います。
BtoCのエンドユーザーを直接対象とするビジネスで、旧態依然の伝統的産業、例えば、古い仕事のやり方、人的な営業が中心のやり方をしているような産業は、新しいマーケティングの導入で大きな価値を生み出す可能性を秘めています。
さらに重層化しているような産業で、エンドユーザーにサービス提供能力があっても、そこにアプローチする能力を持たないような会社は狙い目です。脱下請けってやつですね。
顧客への訴求においても「マーケティングが得意な中小企業診断士です」では、まず仕事は来ません。それでは直接受注は困難です。
顧客が、利益増大を明確にイメージできるような訴求をしないと難しいでしょう。
その上で、コンサルタントが中小企業診断士を保有しているということで、信用を付加する形になります。
どうしても、マーケティングだけで完結しないで、業種、業界特化が重要になってくると思います。
ご参考になれば幸いです。