中小企業診断士の公的業務・民間業務の売上割合を考察する

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ここまでをまとめると
 ・実際は大部分の人が公的(広義)な仕事で食べている。
  ※民間からの受注であっても、実態として、行政の制度に基づく中小企業支援を受けるための業務も多い
 ・業務依頼のきっかけは、大部分が紹介等の人的ネットワークから
 ・民間からの直接受注で高単価のコンサル業務をやっている率は、少ない

 もし、中小企業診断士が独立してすぐに、純粋な民間業務を直接受注して食べていこうとするとかなり難易度が上がると思います。
 競争も激しいですし、顧客は自腹ですから、ちゃんと価値を提供しないと報酬を受け取れません。

 一方、公的な仕事であれば、顧客はほぼ無料です。無料に文句をいう顧客はあまりいません。
 
 「中小企業診断士としての実力が」なんていう人もいますが、個人的には、無料コンサルの顧客の評価はあてにはならないと思います。
 要は、支援機関や先輩からの評価を得ること、それが中小企業診断士としての実力と呼ばれるものです。
 
 でも、逆に考えれば、診断士内部だけの競争で、税金ぶら下がりで、支援機関や先輩に気に入ってもらえれば食っていけるってことです。それで、大したリスクも負わず、自称プロコンと名乗って先生と呼ばれて暮らせるのですから、なかなかおいしい話です。

 と、いとも簡単なように書いていますが、実際は、これが難しいのですね。人によっては。

 (私は、前職がずっと行政相手の仕事だったので、支援機関の評価を得る自信はあります。でももう、そういう仕事は嫌だったのです。さらに、先輩の評価ってのは、全然だめです。組織に向かない人間なのです。)
 
それぞれの志向や適性を考えて判断すればよいかと思いますが、その辺に自信のある人は、公的支援で楽しく暮らしていけるのかもしれません。

 私の場合は、独立3年目くらいから「自腹で報酬を払う覚悟のある顧客に価値を提供して、報酬をいただく」を基本姿勢にして、達成しています。まあ、でも独立最初からそれでやって生き残れたかは疑問です。
 やっぱり独立数年までは公的な中小企業支援業務はありがたいですね。
 「中小企業支援」ならぬ、「中小企業診断士支援」みたいな要素あります。

 どうしても独立後、数年くらいは、助走期間として情報検索、試行錯誤期間が出てくるものですが、この期間に公的業務に関わることで、いくらかでも収入を得られて、情報収集や経験も積めるというのは、中小企業診断士のメリットだと思います。

ただ、公的支援は、一回の専門家派遣に、実際は数十万のコスト(診断士報酬、支援機関職員の人件費や施設費、諸経費をすべて換算すれば)は、掛かっているのです。
 そのコストは、皆さんの納めた税金で負担しているのです。
 公的支援に関わるなら、たとえ顧客は無料で、診断士の報酬が数万円であっても、その裏で生じている実際のコストも考慮して、その数倍の社会的利益をもたらす覚悟は欲しいですね。

 また、こうしたありがたい公的支援というのは、中小企業にとっても、中小企業診断士にとっても、自力で生きる活力を奪う副作用があります。
 この世界に漬かり過ぎると、もう投資的な活動、外の世界へチャレンジする気力がなくなってしまう点は気を付けてください。