経営コンサルタント会社の偉い方から聞いたお話しですが、利益を上げるには、なるべく手切れの良い仕事をする方がよいという内容でした。
手切れが良い仕事とは、例えば、いわゆる経営診断などの仕事で、経営改善計画など報告書を書いて提案して終わる仕事です。また、セミナーや講習会も、手切れが良い仕事と言えます。
手切れが悪い仕事というのは、実行段階に関わる支援が該当します。
実行段階に関わる支援がなぜ手切れが悪いかというと、成功することが少なく、トラブルも多いからです。
具体的には、実行段階での経営改革などは、「トップが本気でやる覚悟がないと成功できないが、そういう会社は稀しかない、本気で支援したくなる会社は年に数社しかない」、という話を聞いていました。
実際に、コンサルを始めてみて、中小企業においては、ほぼ個人任せで、職務内容やノウハウが、個人ごとにブラックボックスになっている会社が多いことに驚きました。また、お互いの領域に口を出さないのが暗黙のルールになっております。
大体そういう会社は、経営計画は、会社の売上、利益等の全体の数値目標のみで、その根拠や達成のための具体論はなく、「社員一丸となって頑張りましょう」的の精神論のみです。
そのような状況の中で、実行段階の支援に関わると本当に大変です。
まずは、現状の見える化とか情報共有といった、既存の業務のブラックボックスを解消する行為には、特定の経営幹部から猛反発が起こる場合が多いです。
どれほど、事前に経営改善計画を納得していても、いざ実行に移ると豹変する人がいます。
個人のノウハウや顧客情報を公開への反発は生存本能的な欲求ですので、強烈なものがあります。
抵抗する人は、既に計画には賛成しており、理屈では勝てないため、激昂してキレる、配下の社員も含めて意図的な怠業(業務多忙を理由に出席拒否)といった行動をとるケースが多いのですが、こうなると、コンサルタントは経営主体ではないのでどうしようもありません。
実行段階の改革を成功するためには、経営トップが強い意志と関与が必要になることはお分かりいただけると思います。
しかし、理屈ではわかっても、この状況になっても、経営トップが部下をコントロールできず諦めている場合が多く、特に二代目などは古参幹部をコントロールできず、コンサルタントがコンロトールしてくれることを期待している場合も多いと思います。
「うちの社員は考えが甘い、ガツンと一発、言ってください!」みたいな感じです。
ド迫力のカリスマ熱血コンサルタントであれば可能かもしれません。それは、コンサルタントではなく経営者代行と言った方が良いと思いますが、社長は、そのコンサルタントに一生依存しなければならないでしょう。
※それが、太くて長い顧問契約を掴むこつなのかもしれませんが。
ただし、もし、経営トップが本気で会社の将来を見据えて、目標を設定し、それを社員全体で合意形成・共有し、そのための仕組みを作り実行し、計測し検証するといった、ごくごく基本的なマネジメントサイクルを確立できれば、例え停滞した会社でも、長期的には相当に伸びる可能性があるとは思います。
そうしたコンサルティングができるようになれば、本当のプロと呼ばれるようになると思います。
※研究すれば、方法論的には実現する方法はありそうです。
ただし、本格的に実行段階に関わる場合、相当な覚悟が必要だと思います。
中途半端に関わって、社内を引っ掻きまわして、失敗撤退したら企業側としては迷惑なので気をつけましょう。