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中高年が外資系コンサルor戦略コンサルタント会社に採用される方法

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 「外資系コンサルタント」や、「戦略系コンサルタント」って響き、格好がよくて憧れますよね。
 中小企業診断士を取得してそういう会社に転職できる可能性ですが、一般的に市場に出ているその手の求人を見ていると条件として、「30歳くらいまで、事業会社の経験」という感じかと思います。
 実際は、学歴(有名大学卒)有名企業所属それなりの部署での経験の三要素が必須で、診断士を持っていれば少しはプラスになるかも?という感じだと思います。
 最近は、純粋な戦略部分では食えない時代になってきているので、周辺領域に稼ぎ処を移しているという話を聞いたことがあります。そのためITエンジニアとしてであれば、結構採用しているらしいです。

 それでは、中高年、アラフォー以上になってから、戦略コンサルタント会社や外資系のコンサル会社に、経営コンサルタントとして入社できるかどうかですが、現実的には、求人サイトを探してみてもほぼ見つからないでしょう。


 ところが実際には、レアケースではありますが、中高年が採用される方法があります。
 その方法について、実体験や事例を踏まえて、考察を書いていきたいと思います。

ケース1:戦略コンサル等に営業をした経験から分かったこと


 私が独立したのは40歳手前でした。経歴としては、三流大学の工学部卒で、業務経歴は建設分野の技術コンサル(中堅~大手)、資格は、技術士(建設部門)、中小企業診断士というスペックになります。
 自己評価としては、学歴はあれですが、建設技術と経営両方分かる人材として、希少価値が高いに違いないと踏んでいました。
しかし実際、独立後は中小企業診断士業界では、評価は全くされませんでした。「ふーんすごいね」くらいです。
「仕事がありません!」的アピールをしていて、却って馬鹿にされていました。
仕事クレクレちゃんってやつですね。

 そこで次はと、民間のコンサルタント会社やシンクタンク等に、片っ端からアプローチしてみました。
 アプローチ法は、今思うと実に稚拙で、「こういう経歴です。こんなに資格を持っています。技術と経営両方分かります。フリーランスとして使ってください。」という感じのものです。懲りないクレクレちゃんでした。


 外資の戦略コンサルなど有名どころも含めてかなりアプローチしましたが、反応は薄かったです。その中で、いくつか反応もあり面談等に行きましたが、そこで必ず確認されることは「あなたは仕事を取ってくることができますか?」ということです。
 そう聞かれて、「ちょっと難しいと思います」と応えていました。内心は「自分で仕事が取れたら、フリーランスの営業しないでしょ?」と思っていました。

 その後、3年目くらいから直接受注を目指して、業種特化サイトを運営し、業界内で認知向上活動を続けて、手ごたえを感じ始めていた頃です。
 建設分野をメインターゲットにしていたのですが、思いもしない引き合いが来はじめました。外資インフラ系コンサル世界大手とか、有名投資会社のコンサル部門とか、IT上場企業とか、そんな感じです。
 コンサルタントとしての引き合いというよりや、「一緒に新事業やりませんか」とか「当社のメンバーになりませんか」というような、パートナー、人材としての引き合いが多かったのです。

 仕事が欲しいときに営業かけて相手にされず、一人でできるようになると向こうからやってくる。ということに、皮肉を感じました。せめて、「もう1,2年早く声かけてくれればな」という感じでした。

 以上のことを自慢に感じてしまう人もいると思いますが、この時の私の気づきとして、コンサルタントのマーケティング方法に関する点と、コンサル依頼より採用の方がハードルが低い点、表に出ない人材需要がある点ということです。

この体験で重要な示唆を得られたことを伝えたいために、このようなことを書いています。

ケース2:外資インフラ系コンサルで聞いた話


 私は、建設系に特化したビジネスをやっているので、いろいろ情報が集まってきます。
 外資系のコンサルタントやエンジニアリング会社とも関係があります。
 外資インフラ系のコンサルタントというと、よくイメージが湧かない人がいると思いますので、簡単に解説しますと、大体どの国も、国民の安全や、経済活動を維持するために、インフラ投資は、GDPの10%程度は必要です。
 (途上国はもっと必要)
 経済インフラだけ見ても、交通インフラ(道路、鉄道、港湾、空港)や、電気ガス上下水道、通信設備などがなければ経済活動など何もできません。
 潜在的なニーズは膨大にありますが、どの国も財政的な余裕が少ないので、最近の世界潮流は、経済インフラなどの巨大プロジェクトは、民間資金を活用し、官民連携(PPP,PFI)で行ったり、純民間が行ったりします。
 インフラ事業は、プロジェクトファイナンスというやり方で、特別目的会社を設立し、出資者(政府、ファンドや財閥その他)を集め、金融機関から融資を受けて、プロジェクト(計画、設計、施工、運営まで)を運営します。
 そこで、出資者や融資先の代理人として、企画(FS等)から始まって、SPC(特別目的会社)の運営、マネジメントやリスク管理やモニタリングなど、プロジェクト全般に関与するのが外資インフラ系のコンサルタント会社です。
 つまり、インフラの経営と技術に関するプロ集団になります。※この辺のお話しは、また別コラムで書きます。

 会社のマネジメント層は、欧米人のスーパーエリート集団で、欧米の超有名大学卒の方々です。
 内部の人に聞いたのですが、募集もしていないのに会社に、「雇ってください」という人が結構くるそうです。
 応募者は、日本の有名大学を出て、さらに留学しMBAを取得した人がゴロゴロいるそうですが、ほとんど相手にしないそうです。
 ところが、そのような中で、つい会って話を聞いてみたくなる。そして採用される人材がいるのだそうです。

 その人材は、会社の事業やビジネスモデル等を理解していて、自分を採用したら、このような事業を行って、顧客を開拓し仕事を受注し、売上と利益はこのくらいは確保すると、具体的な提案をしてくる人です。
 提案内容が具体的で、経歴的にも欧米でのビジネス経験が豊富な人材です。関連業種の経験がある訳でもないのに、リアリティのある提案をしてくるそうです。
 もう、つい会って話を聞いてみて、なるほど~じゃ採用となってしまうそうです。

考察

 以上にいろいろ書いてきましたが、結論として、第一にコンサル会社は有名なところであっても、顧客開拓および利益確保には苦労しており、おなか一杯ではないということ。
第二にキラキラの経歴で経営コンサルになりたい、やれますって人はたくさんいますが、実際にコンサルをビジネスとして成立させられる人は少ないということです。
 つまり、主体的に自分で考えて行動できて、企画し、顧客を開拓し、提案し、受注し、そして業務を行い会社に利益を与える人材は希少価値があり、中高年でも採用の可能性はあります。

 「会社の看板とリソースを貸してください、双方win-winでパートナーとしてビジネスをやりましょう。」と言う感じのアプローチになると思います。
 ただ、「有名大学をでて、新卒入社で年功序列の終身雇用の有名企業に勤めて、管理職でした。系列子会社の社長もしました。」って経歴で、ビジネスを提案しても、厳しいでしょうね。
 自分でリスクを負ったチャレンジ経験がないので、提案にリアリティを出すのは難しいかもしれません。
 要は、独立して自分で直接受注して食べていける能力を相手に感じさせる必要があります。
 採用しないと、「ライバル会社に取られて、そこで成功しちゃう」と思わせないといけません。

 ちなみに、某外資インフラ系コンサルの日本法人社長は、日系ゼネコン海外事業、投資会社、その他ビジネス経験を積んで、日本に帰ってきて「焼き鳥屋」を開いた人でした。
 なんで焼き鳥屋かというと、炭火で焼いて旨い焼き鳥を出す店、経営したかったからだそうです。
 毎日自分で焼いて頑張っていたそうですが、大変すぎて閉店したそうです。
「飲食業って難しい!」と語っていました。
 
 自分でリスクを負える範囲であれば、やりたいことに何度でも挑戦できますし、例え失敗しても、その経験は、自分の資産になります。
 そうやって、思うがままに生きている人の世界があります。

 普通の人は、リスクを負ってチャレンジをすること自体に慣れていない人が多いと思いますが、回避だけしていたら一生リスクを負うことに慣れることはありません。
 希望的観測で、それで人生が全うできればよいのかもしれませんが、突然、強制的にリスクのある世界に放り込まれる可能性もあります。
 そのために、自分でコントロールできる範囲のリスクを自分で取って、挑戦をしていく経験は積んでおくべきと思います。

また、「自分で仕事が取れるなら、わざわざサラリーマンにはならないでしょう?」と思う人も多いと思います。
 
 そこは、スケールが違います。会社のリソース(人材やネットワーク)、会社の看板(認知度、信用)を、利用できれば、大きなビジネスの可能性が広がります。
 先に挙げたようなインフラビジネスであれば、とても個人では手は出せません。
 
 個人的には民間によるインフラビジネスは、潜在的な可能性が大きいと思っており、建設技術者でもある自分としては、インフラビジネスって心躍ります。手を伸ばしてみたいなと言う気持ちがありますが、好き勝手にやる生活に慣れてしまった現状としては二の足を踏んでしまいますね。
 アンテナを張って、情報収集と研究だけはしていかないといけませんね。

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