独立(フリーランス)していて病気になった時について

独立すると「病気になった時に収入ゼロになるから困る」という話があります。
 確かに、サラリーマンは病気で長期休職しても、傷病手当等で1年半くらいは、ある程度の収入が補償されます。
 また、その期間に復職できれば失業することもありません。
 
 独立していた場合、生命保険に入っていれば入院保障等はありますが、基本的には「100%自己責任」です。そこでダメなら生活保護申請にトライするくらいしか、社会のセーフティネットがありません。

 その辺が、独立やフリーランス挑戦に躊躇する大きな要因になっていることは事実だと思います。

 そこで「病気になったらどうしよう」という不安が、独立の障壁になっている人のために判断材料を考察してみたいと思います。

私自身の場合

私自身は、独立4年目の42歳の厄年に、原因不明の体調不良で半年、仕事を休んだことがあります。
 原因不明だったので生命保険でカバーできたのは、検査入院費用だけでした。

病気で長期休職した時の、個人的な感覚としては「独立していてよかった」と思いました。

 その理由ですが、サラリーマン時代に、長期休職した人をたくさん見て来ましたが、多くの人は、職場復帰した時に「会社や同僚に負い目を感じ」、「小さく萎んだ」感じがしましたし、その後、数年以内に辞めるケースも多い印象です。
 また、傷病手当の最大期間を休職してから退職する人も多く、その多くは会社を恨んでいます。
 
 その原因ですが、病気になれば、同僚や上司は、最初は、表向きは暖かい言葉をかけますが、中には理解の無い人達がいて、「仕事を投げ出して無責任だ」とか「あいつは本当は病気じゃない」などと、陰口をたたく人が現れます。
 また、ここぞとばかりに悪評をばらまくなどして、追い討ちをかける人達が出てきます。
 もし、私がサラリーマンで長期休職したら、原因不明の体調不良だったこともあり、かなり陰口を言われただろうと想像できます。

 そうした空気が本人に伝わってしまうので、復職後は社内で小さく萎んでしまうか、「長年、会社に貢献して来たのに、病気になった途端にこの仕打ち」と会社を恨んで辞めるといった感じになっているのではないかと思います。
 
さらに、減点主義の日本社会では、長期休職は人事評価上かなり不利になると思いますし、会社に「貸し」が出来てしまい、その後、転職や独立などの挑戦にも制約を受ける可能性もあります。

 一方、独立していれば「すべてが自己責任」なので、そうした煩わしいことや、どれだけ休んでも「負い目」を感じることもないので、個人的には「独立していてよかった~」と思いました。
 
 私がダウンした時(独立4年目)の経済的状況ですが、家計の収支は、赤字は3年目のみ(1,2年目はギリギリ持ち出しなし)で、独立時に予め家族に渡したお金もあり、無収入でも1年くらいはなんとかなる感じではありました。
 ※だから、いざという時のために、ある程度の蓄えは必須だと思います。
 
 私がダウンしてからですが
 過去に同様の状況の先輩が、体を鍛えて復帰した事例を見て来ているので、私も、先輩に習って、健康に良いことだけやって、体を鍛えたりしていました。
 ※参考コラム:独立するする詐欺も悪くない【ある先輩の物語】

 この時に考えていたことは
・人生にはコントロールできない思わぬ落とし穴はあるものだ
・仕事が好調で、さらに新ビジネスの準備中という状況だったので悔しい
・本当に回復するのかという将来不安
 先輩達が「健康さえあれば何も怖くない」と言っていた意味が、身に沁みて理解できました。

 また、人生のイベント「勉強、仕事、遊び、友人、恋愛、家庭(子育て)」は、基本的にその年代でしかできないことも多く、楽しめる賞味期限があると強く感じました。
人生何があるかわからないから「やりたいことを、やって暮らすのがよい」としみじみと感じていました。

 幸いにもその後は、半年後には平常に戻りました。
 
 病気前は、まだ多少の山っ気もあって、いろいろビジネスアイデアがあり、それらを組み合わせて最終的には大きな会社を作るシナリオも考えていました。
 意欲があるというよりも、そうする方法が見えてしまったといった方がよいでしょう。
  
 復帰後ですが、仮にそれを実現し、社会的成功者になれるとしても、その過程は、私自身も一生懸命働かないといけませんし、人も雇わないといけません。
 また、組織を持つということは責任があり、途中で飽きて投げ出すわけにもいかないでしょう。
 結局、自分が作った組織に縛られて自由度が低くなり、好き勝手にやれないでしょうし、そうして20年かけて大成功しても、もう多くのことが賞味期限切れで楽しめないと思います。
そこで、「面白くない」「面倒くさ」といった感覚になってしまいました。
  
 そして、好き勝手に暮らすという方針にチェンジし、今に至っています。
 ※これも、小さく縮んだと言えるのかもしれませんね。
独立は、気力、体力のある若い内にすべきだと思いました。

 ※参考コラム:中小企業診断士独立体験記

まとめ

 独立における病気のリスクについて、どう考えるかですが、サラリーマンが、病気の時のリスクを肩代わりできるのは、せいぜい1年半の傷病手当の所得補償です。
 ただし、休職中や復職後に会社や同僚に負い目を感じたり、不愉快な思いをすることが多くなりますし、在籍している限り、そうしたマイナス要素の影響は一生続きます。 
 これも、一つのリスクだと考えましょう。

 そう考えると、病気リスクに対して、あらかじめ傷病手当分くらいの備えを確保しておけば、いざ病気になった時に「独立していて良かった」と感じると思います。

 まあ、とにかく人生において「体を壊すことが最大のリスク」であることは確実です。

 予防こそが最大のリスク対策です。
 独立したら、仕事はほどほどに、やりたいことをやるとよいです。
朝からスポーツクラブにいって、体を鍛えて、大浴場やサウナを満喫しましょう。
 家族から白い目で見られたら「独立したら体だけが唯一の資本」、「これも仕事」と言い張りましょう。
 
 ご参考になれば幸いです。

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