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ダブルライセンスは成功しやすいのか?中小企業診断士としての独立

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 最近、中小企業診断士とダブルライセンスの人が増えている気がします。
 社会保険労務士、行政書士から始まって、公認会計士、税理士、弁護士、中には医師という人もいます。
 私の場合は、技術士(建設部門)のダブルライセンスです。

中小企業診断士としての独立においてダブルライセンスが有利になるかどうかですが、個人的には、有利になる面はあるが、そこまでではないという印象です。

 ただ大きなメリットとして感じるのは、「不安」が少ないという点です。

 独立して成功するために一番の障害になるのは、「不安」だと思います。

 中小企業診断士で独立する人の多くは、大企業勤めで、自分でリスクを負った経験がありません。
 そして独立するとまず、肩書もステータスも失って、収入もない状態になるわけです。
 日々、貯蓄が減っていく状態というのは、最初の数か月はよいでしょうが、1年も続くと、かなり堪えます。
 仮に自分が平気でも家族が黙っていません。いろいろ険悪になります。

 そこで、どんな仕事でもしますと駆けずり回ることになります。そこでよい経験が積めればよいですが、中には修行と称して、キャリアにならない仕事を無償に近い金額でさせようとする人たちもいるわけです。
 そうやって、日々をしのいでいると、疲れ果ててしまいます。長期的な展望のもとに投資的活動ができません。不安がどんどん大きくなって、どこかで挫折してしまう人が多いと思います。しかし、その場合、年月だけが経過して実績がない状態になってしまいます。再就職も厳しいことが予想されます。

先にも述べましたがダブルライセンスの最大のメリットは、「不安」が少ないことだと思います。
 大体が、独占業務のあるような士業の人は、資格浪人など不安定な身分の時代を過ごしていたり、転職や独立を経験していて、自分でリスクをとって挑戦することに慣れている人が多く、不安に耐性があります。
また、ダブルライセンスは、なんとなく「人生の保険」を持っているような気分になれます。確かにもう一個の方の資格で食おうと思えば食えるとか、あるいは、専門分野関連の仕事は回ってきやすくなるはずです。再就職だって有利になるはずです。
希望的観測ですが、なんとなくそう感じることができます。

 そこで、ダブルライセンスの方が、不安に押しつぶされることなく、長期的な視点でじっくり取り組むことができます。
 結果として成功する確率が上がると思います。

 そこで、「じゃあ、俺もダブルライセンスを目指そう」と考える人も多いかもしれませんが、しかしそれでは、独立までさらに何年も労することになります。
 要は「心」の問題なのです。そのために何年もかける必要性はないでしょう。独立はするなら、早いほど良いと思います。既に診断士をもっていて十分じゃないですか?

 ビジネスというのは、すべて「価値を提供して報酬を受け取ること」で成り立っています。
多くの成功した起業家は、別に独占業務資格は持っていません。
彼らは時代のニーズを読んで、仮説を立てて次々に事業を立ち上げて、大部分が失敗する中、その内のいくつかを成功させ、ものすごい金額を稼いでいます。そのお金を再投資に回すという形で成長します。
つまり、ニーズを満たす価値を提供して報酬を得るというマインドを持っています。
 
 独占業務のあるような資格は、確かに価値はありますが、コンサルタントとして一番価値があるのは、「経営者のニーズ(経営目標の実現、利益増大等)を満たす能力」です。
 中小企業診断士は、それぞれの業界で経験を積んでいます。もし、特定業種に精通し、会社に利益がでるようにできるコンサル能力があれば、独占業務の資格を持っているより、ずっと価値があると思います。

 診断士とプラスして、○○士を持っていたら食えるとか、食えないとかではなく、価値を提供して報酬を受け取る。「経営者の右腕になる」コンサルタントが、経営者と同じマインドを持っていないと話が成り立たないでしょう。

 多額の借金をして、設備や人材に投資し、個人保証を抱えて事業を行う普通の企業経営者に対して、コンサルタントとしての独立、収入が多い少ない程度のリスクなど、転職に毛が生えた程度で、たかが知れています。
多少、きつい時代を過ごした方が、人生経験と言う意味でよい思い出になります。

 長期的な継続のために、収入的にきつい時代を、凌ぐ方法は考えておいた方がよいですが、はっきり言って、独立して5年目くらいまでの収入額には、あまりこだわる必要がないと思います。
 
「長期的な視点に立って行動できているか」、その点が最も重要だと思います。