ベーシックインカム制度は、「働かなくても毎月お金が貰える」という夢のある制度で、若者を中心に多くの支持者がある一方、「荒唐無稽」、「お金を貰ったら働かない」「財源的に不可能」という認識を持つ人が大部分でしょう。
個人的見解では、ベーシックインカムは「荒唐無稽」なものではなく、経済活性化、地方再生、出生率の向上に繋がる効果的な制度だと考えており、今後、10年程度で実現していくのではないかと予想しています。
どうして「経済活性化や地方再生に繋がるの?」あるいは「絶対無理、信じられない」ですか?
でも多分、今後のフィンテック等の技術の進歩や、テレワーク、ジョブ型雇用、複業、フリーランス化、ギグワークの増加などの労働市場の変化に合わせて、社会保障としてベーシックインカムを導入する方向に世の中は進まざる得ないと考えています。
今回は、夢のある話として、「ベーシックインカムは実現してしまう件」を説明したいと思います。
目次
- 日本人の生活・将来不安状況
- 日本人の生活・将来不安が大きい原因
- ベーシックインカム論の妥当性評価
- 財源的可能性の検証
- ベーシックインカムを実現させる方法
- まとめ
- おわりに
日本人の生活・将来不安状況
まず、以下の日本の現状データを見てください。
総世帯数:4885万世帯(2020年)、平均世帯人口:2.4人、総人口1億2,600万人
出典:2019年 家計の金融行動に関する世論調査、平成30年度被保護者調査、平成30年国民生活基礎調査の概況
世帯年収(中央値):423万円
年収200万以下の世帯比率:19.9%(972万世帯)
貯金ゼロ世帯率 単身:38.0%、二人以上:23.6%
生活保護世帯数:162万世帯 (1世帯2.4人とすると389万人)
世帯年収中央値(年収423万円)でも、生活は苦しいでしょうし、世帯年収200万以下、貯金ゼロという厳しい生活をしている世帯が2~3割も占めるのです。
一方、生活保護世帯数162万世帯ということは、実態は、需給のハードルが高い状況が見て取れます。(手続き煩雑、審査、時間がかかる等)
また、現状、経済的問題のない世帯でも、ローンや子供の学費、老後の資金等の経済問題を抱え、失業やリストラされたらと考えると将来不安が大きい人が大部分でしょう。
現代社会の多くの人が、生活・将来不安を抱えているはずです。
日本人の生活・将来不安が大きい原因
1.生活・将来不安が大きい理由
名目GDPの推移を見てみると下記の通りになります。
日本:1988年 3.1兆ドル(95年バブル時5.5兆円)→ 2018年5.0兆ドル バブル以降ゼロ成長
(IMFデータより)
世界:1988年19兆ドル → 2018年86兆ドル 4倍以上に成長
上記のデータから、下記の疑問が湧き起こります。
①なぜ30年間で世界経済規模は4倍以上に成長する一方で、日本は低成長が続いているのか
②なぜ、これほど技術(ITなど)が進歩しているのに日本は低成長なのか
③なぜ、現役世代の多くが親の世代より貧困を感じ、生活・将来不安を抱えているのか
世界経済と急速な発展とは対照的な、長年に続く日本のゼロ成長、国際競争に負け続ける状況で、さらに少子高齢化が急速に進み、財政余力が減少している状況から、不安が大きくなるのも仕方がないことです。
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