中小企業診断士とは

中小企業診断士の勉強の良い点

経営管理能力、マネジメントという概念は、非常に曖昧です。

管理職を経験し、経営本や経済紙を読んだだけで自分がマネジメントの専門家だと考えている人も多いでしょう。

また、実際にマネジメントの勉強をしようと書店にいっても、経営分野だけでも膨大な書籍があり、専門も多岐に渡るため、何を勉強したらよいのかわかりません。
さらに、経営本の中には、かなりの数の、自己啓発や詐欺ビジネスの怪しい本が混ざっています。
過去に、自己啓発系のビジネス書にはまって、何十万円するセミナー受け、経営コンサルタントになりきっている人と関わり、苦労したことがあります。

よって、実際にバランス良く、経営の知識を習得していくのは難しいものだと思います。
その点、中小企業診断士は、変な思想や自己啓発などとは無縁である点は、勉強内容としてはとても良いと思います。

一次試験では、基礎を幅広く勉強し、二次試験ではマーケティング、組織、オペレーション、財務の4分野について中小企業白書などからの事例を課題としたロジック力を磨くアウトプット中心の学習となっており、学習が基礎と応用といった手順のため、効果も高いと思います。

また、勉強自体が暗記系の資格と比べて、断然面白く、特に二次試験はロジックのゲーム的に楽しめます。

中小企業診断士資格の残念に思うこと

私の場合、中小企業診断士の取得によって人生が開けたこともあり、最高に役に立つ資格だと思っているのですが、一般社会での知名度が低く、また、経営コンサルタントの資格でありながら中小企業診断士の有名人(コンサルタントや実業家、企業人)が、あまり思い浮かばない点が残念に思っています。(私が無知なだけかもしれません)
自分なりに考えてみた要因について述べたいと思います。

① 中小企業診断士という資格名
中小企業診断士という資格名から、どのような仕事か一般人にはわかりにくいです。他に○○診断士というような民間資格が多数あり紛らわしい上に、頭に「中小」と付いているのもどうも印象が良くないと思います。世の中の企業の99%が中小企業なのだから、せめて「中小」は外してほしいところです。

資格ガイドなどの中小企業診断士についての説明では、「経営コンサルタントの国家資格」とか、「経済産業省認定の経営コンサルタントための資格」と書かれているものが多いようです。
それならいっそ「経済産業省認定 経営コンサルタント」とでもしてくれたらうれしいのですが

②無料経営診断の弊害
公的機関などによる経営専門家派遣などは中小企業診断士の比率が高く、実質的には独占業務に近くなっています。
相談を受ける企業側の負担額は、無料~数万円の範囲です。この「ほぼ無料のコンサルティング」の社会的意義はあるとは思いますが、弊害も多いと感じます。
もともと日本社会においては知恵やアイデアにお金を払う文化が希薄ですが、さらに一度でも、こうした公的支援(ほぼ無料の経営診断)を利用してしまった企業の多くは、今後、中小企業診断士にまともにお金を払う気が起こらないのではないでしょうか。
中小企業診断士=「無料相談の人」というイメージがついてしまっているような気がします。

③ 更新が面倒
中小企業診断士は5年更新ですが、更新のための実務ポイントや基本研修が必要になります。
この実務ポイントが面倒なもので、支援を受けた企業の承認(ハンコ)が必要になります。公的機関の仕事はともかく、企業から直接業務を受けている場合、社長に実務ポイント証明のハンコなど格好悪くて頼みにくいです。本当に気心の知れた相手じゃないと言えません。
また、大企業内での経営活動や、自ら起業し社長となって経営した場合は、実務ポイントとして認められません。
これでは、大企業のビジネスマンや経営者、コンサルタントとして知名度があって直接受注できる人ほど、資格を維持することが面倒になってしまうでしょう。

なぜ中小企業診断士はビジネスマンに人気なのか

中小企業診断士は、ビジネスマンの取りたい資格などでは上位にランキングされており、自己啓発系資格として人気が高いようです。
世間一般では、中小企業診断士の知名度はかなり低いのですが、大企業などのビジネスマンには知名度、ステータスともに高いと思います。

実際、中小企業診断士合格者の大半が大手企業の出身者です。
特にメーカー、IT業界、金融機関などが多い印象があります。
では、中小企業診断士がなぜビジネスマンに人気なのか、どの程度のステータスなのか考察してみたいと思います。

まず、ビジネスマンに人気の高い理由ですが、大企業に勤めるビジネスマンの皆さんは、学歴もあり社会的にはエリートかもしれませんが、社内ではそれが当たり前 普通の人です。そのため、良い機会を掴むためには、同僚と差別化するための能力や資格が必要になる訳です。

そのような中で中小企業診断士は、経営コンサルタントの資格の中で唯一の国家資格といわれる位で、マネジメント系資格の中では難関であり、診断士を保有していればマネジメント知識を持っている証明になります。

そのため、中小企業診断士を保有していれば社内で経営に関する意見も通り易いでしょうし、企画、新事業、その他経営的な機会にも参加しやすいなど、同僚との差別化が可能です。
また、学歴や、所属部署(総務、経理、営業、技術など)を問わず誰でも受験できる上に、特別に学校に通う必要もなく働きながら挑戦できます。独学なら費用はわずかです。
つまり、忙しいビジネスマン、会社員にとって、受けやすい資格というのも人気の理由だと思います。

次に、中小企業診断士のステータスですが、診断士の一次二次試験合わせた最終合格率は5%程度もありません。このことから、一人中小企業診断士が合格する陰に20人の不合格者がいることになります。過去に挑戦して諦めた人も含めればもっと多いでしょう。

仮に、1,000人の組織の内、中小企業診断士が3人居れば、その陰に少なくとも60人位の受験経験者が社内に居ることになり、かなりの比率になります。マネジメント層ではさらに高い比率になるでしょう。
よって、大企業では、実は社内に多くの診断士を目指して勉強中の人や過去に挑戦した人達がいて、認知度もあることになります。
そして、わずかな人しか合格できない点が、「優秀さ?」と「マネジメントの知識」の証になるのでステータスもそれなりにあると考えられます。

つまり、中小企業診断士を持っていれば、一目置いてくれて、いろいろな機会に恵まれる可能性が高くなります。
そのため、中小企業診断士は企業内で最も活用しやすい気がします。

中小企業診断士の歴史

中小企業診断士の制度の変遷、歴史を以下にまとめます。

  •  昭和27年:通商産業省により中小企業診断員登録制度が創設
  • 昭和44年:中小企業診断員を中小企業診断士に改称
  • 平成12年:中小企業指導法の法改正とともに「中小企業支援法」に変更、中小企業診断士の位置づけは「国や都道府県が行う中小企業指導事業に協力する者」から「中小企業の経営診断の業務に従事する者」に変更、登録部門の区分(商業、工業、情報)の廃止(新制度の開始は平成13年より)
  • 平成18年:第1次試験に科目合格制導入(3年間有効)

 

中小企業診断士が公的支援の専門家から中小企業の経営コンサルタントのための資格に位置づけが変わるのは、平成12年の中小企業支援法への変更からになります。

また、試験も一本化され参考書や予備校など受験指導機関にとって取り組みやすい市場となり、さらに不況と相まって中小企業診断士の人気が上昇し試験の受験者が急増していくこととなりました。

中小企業診断士とは

中小企業診断士は、経営コンサルタントのための国家資格と言われています。

法的には、中小企業支援法(昭和38年法律第147号)第11条第1項の規定に基づき、経済産業大臣により「中小企業の経営診断の業務に従事する者」として登録された者となります。

 

よって、「中小企業診断士」→「中小企業の経営診断の業務に従事する者」→「中小企業向けの経営コンサルタント」というのが実態に近いと思います。

 

参考:中小企業支援法 第一条 目的より

この法律は、国、都道府県等及び独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う中小企業支援事業を計画的かつ効率的に推進するとともに、中小企業の経営の診断等の業務に従事する者の登録の制度を設けること等により、中小企業の経営資源の確保を支援し、もつて中小企業の振興に寄与することを目的とする。