ベーシックインカムは実現してしまう件

前ページ「ベーシックインカム論の妥当性評価」より続き

2.公共事業としての妥当性(他の公共事業との比較)

次に、ベーシックインカムなんて「単なるバラまき」だ、「行政が公共事業を直接やった方が費用対効果が高い」という意見があります。
 公共事業の中でも、社会保障(健康保険、年金)、インフラ、義務教育、警察、国防など、行政でなければやれないことがあります。
 これらは国民の命、安全安心を守る根幹であり、本来の行政の仕事です。この部分を縮小してベーシックインカムに回すことはナンセンスです。
 上記の国民の命に係わる部分以外の公共事業、経済振興策、企業支援、地域振興などの各事業、補助金、助成金などを含めて、費用対効果的に、ベーシックインカム制度と対比できるでしょう。
 また、現状の貧困層対策においては、手続きに時間も手間も大きく、さらに住所不定者で路頭に迷いセーフティネットの網から零れ落ちた人もおり、仕組み的に不備があります。
 現実問題として、ホームレスや、飢えて死ぬ人も現代社会には存在していることがその証です。

国民すべてに、決して切れない命網(セーフティネット)を整備することは「国は、何があっても国民を路頭に迷わせないから、思い切って挑戦して下さい」というメッセージであり、挑戦できる社会に繋がるはずです。
 また、所得の再配分対策として、行政の諸手続きや審査を挟まないで国民に配分することは、事務コストが掛からず大変効率的です。※フィンテックにより技術的に可能になっています。
 長期的に見て、ベーシックインカムが、他の公共事業に対して費用対効果的に劣ることはないと思います。

※間接効果を含めた長期的な検証が必要だと思います。

3.海外でのベーシックインカム実証実験について

アメリカの都市、フィンランド等での実証実験等が行われていますが、その結果を見ると、「不安・ストレスが大きく軽減した」「働かなくなる人はそれほど多くなかった」といった感じで、効果、デメリットともに曖昧な感じがします。
 公共事業として強い社会的意義が感じられるような結果ではないです。
 海外での実証実験の結果から「ベーシックインカムは意味がない」という意見もあるでしょう。
 

 これら実証実験の基礎諸元は、任意の対象者、有期限(2年等)、限定された範囲(都市、あるいは小国)、金額(日本円で6~10数万円)となっています。
 このような実証実験では、事業の効果として「不安やストレス軽減」程度の直接効果しか計測できないでしょう。

 ベーシックインカムの意義は、「生活不安を軽減し、やりたいことに挑戦できる社会」にすることで、経済・地域発展、出世率向上等の大きな間接効果が見込めることです。
 そのため、永続的で決して切れない命綱でなければないものであり、対象者、期限、範囲等が限定された実験では、正しい効果を検証できません。 
 例えば、2年間だけ、毎月10万円支給しますと言われて、安定した職を辞めて、挑戦する人は増えないでしょうし、経済的な理由で結婚できない人が結婚できたり、出産を思いとどまる人が「もう一人子供を作ろうか?」となるとは考えにくいです。

 分析や実験は大切ですが、大きな仮説を元に、政治的判断で実行すべきものであると思います。
 正しい効果を検証するには、まずは毎月5000円等で導入し、金額を増やしたりしながら、長期的に検証すべきでしょう。
 現状の児童手当の社会的意義に不満がある人はほとんどないでしょう。
それを、国民への命綱として、国民手当として対象範囲拡大することに、大きな社会的意義があると思いませんか?

次ページ「財源的可能性の検証」へ進む